10F:高地に君臨せし空の王


モリイ、今の内に。



分かった!
サソリのF.O.Eがキリンの突進を邪魔してくれてるんだね?


ええ、サソリは私達と同じ移動速度ですから。



通常エンカウントに手間取んねえ限りこれで進めるって訳だ。
しかしまぁ...



F.O.Eだらけで鬱陶しいフロアだったぜ!



流石に第二階層も大詰めなだけありました。
上手くF.O.Eをそれぞれ誘導しないと進めませんでしたね。


でもさ、良いこともあったじゃない。
新しく手に入った「鵜」と「牛」とか!


鵜に牛ねえ...



鵜は定期的にどこかで魚を飲み込んで帰ってきます。
牛からはミルクを。


ミルクはともかく、魚はマジか?
あのトリ公が吐きだした魚なんざ食いたくねえんだが。


別に胃袋に飲んでいる訳ではないですし、大丈夫ですよ。
それより私は牛の方が衝撃的でした。


...まァな。
あのバカ、マジで宿屋まで連れ帰りやがったからな。


ジェネッタさんもよく受け入れてくれたと思います。



鶏に蜜蜂に鵜と牛!
全部タダで預かってくれてお世話までしてくれる宿なんて、他にないよね!


あってたまるか!
前々から思ってたが、あの女将やっぱ頭おかし...


ストップ。
それ以上いけない。


おりょ?



リリちゃんにソロル先輩!?



何だァ...?
(こいつら、扉の前で何してんだ?)


(さり気ない形ですが、ソロルはリリを庇うように立っています。
もしや彼女達は...)


2人って仲間だったの?



ほーほー。



いいからさっさと本題に入れよ死神とネクロマンサー。



この2人のやり取り、ケイスとモリイに似ていますね...



あァ?



さて、どうやら私達にこの先へと進んで欲しくないようです。



というより、なんか評議会の許可がないと進めない場所なんだってさ!
一度街に帰るよう言われたよ。


評議会ってことは、つまりアレか。



恐らくミッションでしょう。




...。



達人としての認可だぁ...?



評議会は十分な力量を持った冒険者を「達人」と呼び、
一流の証として「達人スキル」を伝授しているそうです。


達人スキル!?
なんか凄そう!


ええ、恐らく凄いのでしょう。
しかし認められるには魔獣「ヒポグリフ」を征伐しなければなりません。


まァ受けねえ選択肢はねえな。
ねえ...が。




(またミッションを発動して、冒険者をふるいにかけんのか)
...。


ケイス、どうかした?



いンや、伝授してもらえんなら有り難く頂戴するぜ。
そんじゃ宿屋で一旦休んで出発するか。



有難う、アイルビーバック!!



何だそりゃ。
しっかしアイツらも暇なのかね...


あの2人はすでにヒポグリフを倒し、達人と認められているのでしょう。
そして評議会の依頼であそこに立っていたのかと。


たった2人なのに凄いなぁ。
ところでケイス、さっき何気にしてたの?


あァん?だから別に大したことじゃねーよ。



やっぱり魔獣ヒポグリフの強さとか?
...あ、それとも怖い!?


ちげーよ馬鹿!
ただ今更、評議会は俺達に何を期待してんだってフト思ったんだ。


評議会の期待...世界樹の伝説ですか。



おう、ここにきて「達人スキル」なんてモンを出してきただろ。
それは俺達のためっつーより連中の目的のためじゃねーか?


親切心や褒美ではないと。



そりゃそうだろ、達人スキルを仕込んだ冒険者に「何か」させてぇ筈だ。
ま、別にいいけどよ。


...成程。



流石にそれは考えすぎじゃないかなー。
ケイスって陰謀論とか好きだよね!


好きじゃねえし、これは陰謀論じゃねえよ!



(でも確かに、評議会は目的があって世界樹の探索を解禁したはず...
かつての暴王の支配...世界樹に「何が」あるのかを知って...)


ありゃ、フィンまで考え込んじゃった。
もー、今はヒポグリフに集中!みんな行くよー!



...おぉ!?



この奥にヒポグリフがいやがるんだったな。



扉越しでも相当な圧を感じます。
事前の忠告通りかなりの強敵のようですね。


つーか殺る気満々じゃねえか...
なんだよこの殺気は。


元来殺気をまき散らしながら生きている魔物なのか。
あるいは我々の気配を察しているのかもしれません。


今までに何度も評議会の選抜試験に使われてるんだっけ?



ったく、傲慢の仔とはよく言ったモンだぜ。



モリイ、突入前に何かありますか。



んーっと...まだ作戦は立てようがないかな。
だからいつも通り戦ってみよう!


了解です。



そんじゃ...開けるぜ。



うわー、風の音がスゴイ...



目に見える範囲には何もいねえな。



しかし刺すような鋭い殺気は存分に感じています。
警戒を...


!!
上から来るよ!気を付けて!


こいつがヒポグリフか!



まるで鷲と馬を掛け合わせたような姿ですね。
...。


ケイス、いつも通り「バンカー」からお願い!
あの巨体、きっと攻撃力がすごいと思う!


おうよ、まァ初っ端の行動は単体に混乱付与だったが...



やっぱ大体の攻撃が物理のパワー馬鹿みてえだな。
しかも列攻撃ときたもんだ。


よりによって私たちのバンカー+獣が苦手とする列攻撃ですか。



うわわ、黒丸とギブスンがあっさり離脱しちゃった!



これはバンカーか私の獣達、どちらかを切る必要がありそうですね。



うーん...



つーかコイツ、他に貫通攻撃も持ってやがンぞ。
召喚枠がバンカーだけになっても全然安定しねえ。


あたしの弱体でなんとか全員1撃は耐えられるけど、
連打されると厳しい...かな。


現状じゃ回復アイテムが単体対象しかねえっつの。
範囲攻撃ばっかじゃ...ッ!!


野郎、全体攻撃までありやがんのかよ!



間に合わないかもしれないけど、フィンを起こして...



ん?



ここで防御態勢だァ?



もしかしてカウンター狙いだったりする?
今の内に立て直せれば...


じゃなかった、読み違えた!?
どんどん回復されちゃう!


おい待て、3ターンで合計1,500も回復しやがったぞアイツ。



ここまでに与えたダメージがほぼ無かったことにされましたね。



う、うひー、こういう相手かぁ。
ちょっと考えなきゃだ...


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